法律コラム

Q&A<相続・事業承継>相続放棄の流れー相続放棄の基本を弁護士が解説します。

2022.12.26

相続放棄をしたいと考えていますが、どのような手続をすればいいかわかりません。また、相続放棄の注意点についても、教えてください。

相続放棄は、相続放棄ができる期間内に、相続放棄を希望する相続人が必要な書類を収集し、申述書等を作成し、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に書類を提出する必要があります。この手続は弁護士 (法律事務所) に依頼できます。

 被相続人 (亡くなった方) の相続を放棄するためには、相続放棄ができる期間内に、相続人 (相続放棄をする方) が必要な書類を収集・作成し、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に書類を提出する必要があります。これを相続放棄の申述といいます。

1. 相続放棄の流れ

①相続放棄に必要な書類を準備する。

 相続放棄をするためには、以下の書類を準備する必要があります。また、相続放棄には期限もあるため、早めに書類の準備をする必要があります。

 ア 被相続人の住民票除票又は戸籍の附票

 イ 被相続人の戸籍謄本

 ウ 相続放棄をする方の戸籍謄本

*被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍 (除籍、改製原戸籍) 謄本が必要になります。

②相続放棄申述書と相続関係図を作成する。

 相続放棄申述書とは、相続放棄の手続のために家庭裁判所に提出する申請書類をいいます。申述書には、「被相続人の氏名・本籍地・住所地等の情報」、「申述の趣旨」、「申述の実情」を記載し、相続を放棄をする方が署名・押印しなければなりません。

 相続関係図とは、被相続人とすべての相続人との関係を、図にまとめて表したものをいいます。

③必要な費用を確認する

相続放棄手続には、収入印紙や郵便切手代などの費用がかかります。

④家庭裁判所に書類を提出する

 相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。準備した書類一式を、裁判所へ直接もっていくか、郵便で送付することができます。家庭裁判所によっては、郵送での受付をしていない場合もありますので、事前に家庭裁判所に確認してください。

2. 相続放棄申述後の流れ

①家庭裁判所から送付される「相続放棄回答書」を返送する

 相続放棄書類を裁判所に提出すると、裁判所から「相続放棄照会書」が届きます。照会書には、相続放棄が期間内に行われているか等を確認する「相続放棄回答書」が同封されているため、記入して期限内に返送する必要があります。

②家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送付され、相続放棄手続が完了する

 相続放棄回答書の内容に問題がなければ、相続放棄が認められ、相続放棄申述受理通知書」が届き、相続放棄手続が終了となります。

3. 相続放棄の注意点

①相続開始前に相続放棄できません。

 現在の法律 (民法) では生前の相続放棄を認めていないため、相続開始前に相続放棄できません。

②相続放棄は、撤回できません。

 相続放棄できる期限内であっても、相続放棄申述書が家庭裁判所に受理された後は撤回できません。

③未成年者の場合、相続放棄は、親権者等の法定代理人がしなければなりません。

 未成年者の場合、相続放棄を単独で行うことはできず、未成年者が相続放棄を行う場合は、法定代理人がその未成年者の相続放棄を行うことになります。

④相続放棄すると、他の相続人に相続権が移転します。

 相続放棄をした場合、相続権は次の順位の相続人へ移動します。亡くなった方の配偶者や子どもが相続放棄をすると、亡くなった方の親に、親が放棄すれば第3順位である亡くなった方の兄弟姉妹が次の相続人となります。

4. ポイント

  1. 必要な資料を収集し、必要な書類を作成して、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出する必要があります。
  2. 相続開始前に相続放棄できません。
  3. 相続放棄は撤回できず、慎重に判断する必要があります。

5. 弁護士法人かける法律事務所 (”KLPC”) のサービスのご案内

 弁護士法人かける法律事務所 (”KLPC”) では、「相続放棄・申述手続の代行」のサービスを提供しています。  
 相続放棄をするためには、相続放棄ができる期間内に様々な書類の収集や作成をする必要があります。また、相続放棄をするべきかどうか悩むケースもあり、法的判断が求められます。