法律コラム

Q&A<インターネット・著作権>著作権侵害コンテンツのダウンロード違法化

2022.04.19

違法にアップロードされた漫画をダウンロードすると、違法になるという著作権法の改正がされたと聞きました。その改正内容を教えてください。

違法にアップロードされた漫画・書籍等の著作物をダウンロードする行為について、一定の要件の下で違法とされ、刑事罰の対象になることもあります。

1 インターネット上の海賊版対策の強化に向けた議論

 インターネットの普及に伴い、漫画や雑誌等のインターネット上の海賊版サイトによる被害が深刻化していると指摘されており、インターネット上の海賊版対策の強化が議論されています。

 令和2年の著作権法改正では、インターネット上の海賊版対策強化の一環として、リーチサイト対策(*ア)や侵害コンテンツのダウンロード違法化(*イ)を内容とした改正が行われました。

 

ア.リーチサイト対策

 リーチサイト等を運営する行為等が刑事罰の対象となり、また、リーチサイト等に侵害コンテンツへのリンクを掲載する行為等を著作権侵害とみなして、民事上・刑事上の責任を問えるようにしています。詳細は、文化庁のウェブサイト「令和2年通常国会 著作権法改正について」で確認できます。

 

イ.侵害コンテンツのダウンロード違法化

 令和2年著作権法改正によって、違法にアップロードされた著作物(侵害コンテンツ)のダウンロードの違法化が強化され、令和3年1月1日から施行されています。

 この改正について、文化庁から「侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するQ&A(基本的な考え方)」が公表されています。

 

*上記改正で違法とされるのは、あくまで侵害コンテンツをダウンロードする行為であって、単に視聴・閲覧行為を違法とするものではありません。

 

2 民事上の責任

 令和2年著作権法改正によって、違法にアップロードされた著作物全般(音楽・映像だけでなく、漫画・書籍・論文・コンピュータープログラムを含みます。)をダウンロードする行為を規制の対象としました。

 ただ、以下の①~③の場合であれば、規制の対象外としています。

 ①軽微なもの(軽微かどうかは分量や画質で判断する。)

 ②二次創作・パロディのダウンロード(*)

 ③著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合

 また、違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードする場合が対象で、重過失の場合は対象外とされています。

*二次創作者が原作者の許諾なくアップロードした二次創作物については、それが違法に アップロードされたものだと知りながらダウンロードしたとしても、違法となりません。もっとも、二次創作物を、第三者が二次創作者の許諾なく更に無断転載している場合に、それを知りながらダウンロードする行為は、 二次創作者の権利を直接侵害していることから、違法となり、刑事罰も科される可能性があります。

 

3 刑事上の責任

 刑事上の責任は、違法にアップロードされた著作物全般(音楽・映像だけでなく、漫画・書籍・論文・コンピュータープログラムを含みます。)のうち、正規版が有償で提供されている著作物が対象で、継続的に又は反復して行う場合に限定されています。

 法定刑の水準は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(併科も可能)で、すべて親告罪(権利者による告訴が必要)となっています。

 

4 ポイントまとめ

1.令和2年著作権法改正によってインターネット上の海賊版対策が強化された。

2.侵害コンテンツをダウンロードする場合、一定の要件の下で違法となり、刑事罰の対象にもなる。

3.侵害コンテンツは、音楽・映像に限定されず、漫画・書籍・論文・コンピュータープログラムも対象となる。

 

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