法律コラム

福利厚生を「採用・定着」につなげるには?人的資本経営に役立つEAP(従業員支援)の考え方

はじめに|福利厚生を「人材戦略」の視点から考える

人材の採用や定着は、多くの企業にとって重要な経営課題となっています。給与や労働時間などの労働条件に加えて、従業員が安心して働き続けられる環境をどのように整えるかも、人材を確保し、その能力を発揮してもらうための重要な視点です。

その一つが「福利厚生」です。

福利厚生というと、住宅手当、健康診断、休暇制度、レジャー施設の優待などがイメージされやすいかもしれません。しかし、福利厚生は、従業員にメリットを提供するだけの制度ではありません。従業員が抱える不安や負担を軽減し、働きやすい環境を整えるという観点から考えれば、人材の採用・定着・活躍を支える取組みの一つとして位置付けることができます。

人的資本経営が重視される現在、企業には、人材を採用するだけでなく、従業員が働き続け、能力を発揮できる環境を整えていくという視点も重要です。

本稿では、そのような観点から、EAP(従業員支援プログラム)をはじめとする従業員支援と、福利厚生、採用・定着、人的資本経営との関係について考えます。

従業員のプライベートな悩みも仕事に影響する

従業員が抱える悩みは、仕事に関するものだけではありません。

例えば、離婚や相続、交通事故、借金、不動産など、日常生活の中でさまざまな問題が生じることがあります。こうした問題を抱えた場合、仕事と直接の関係がなくても、精神的な負担が大きくなり、仕事に集中することが難しくなることも考えられます。

一方、企業の人事・総務担当者が、従業員からこうした相談を受けたとしても、そのすべてを社内で解決することは困難です。専門的な知識が必要な問題もありますし、そもそも従業員がプライベートな問題を会社に知られたくないと考えることもあります。

企業が従業員の私生活に過度に立ち入ることは適切ではありません。しかし、企業自身が問題を解決するのではなく、従業員が困ったときに適切な専門家へ相談できる環境を整えておくことは、従業員を支援する方法の一つです。

そこで注目したいのが、EAP(従業員支援プログラム)という仕組みです。

EAP(従業員支援)を福利厚生としてどう考えるか

EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)は、従業員が抱えるさまざまな問題について、外部の専門家等による支援を受けられる仕組みです。

従業員が抱える問題には、心身の健康に関するものだけでなく、家族関係や金銭問題、法律問題など、会社だけでは対応が難しいものもあります。こうした問題について相談できる環境を福利厚生として整えることは、従業員が一人で問題を抱え込まないための選択肢を増やすことにつながります。

もっとも、企業が従業員のプライベートな問題を把握したり、その解決に直接関与したりする必要はありません。むしろ重要なのは、「会社が解決する」のではなく、「従業員が必要なときに専門家へ相談できる環境を用意する」という考え方です。

また、このような仕組みを実際に活用してもらうためには、相談内容や個人情報の取扱いに配慮し、従業員が安心して利用できる環境を整えることも重要です。

このように考えると、EAPは単に福利厚生のメニューを増やすためのものではなく、従業員を支える職場環境づくりの一つとして位置付けることができます。

福利厚生を採用・定着・活躍につなげる

福利厚生は、採用活動において、給与や勤務条件などとともに、企業の働く環境を伝える要素の一つです。特に、人材の確保が重要な経営課題となる中で、従業員を支える制度を整えていることは、企業の姿勢を求職者に伝えることにもつながります。

もっとも、福利厚生は、採用時に企業の魅力を伝えるためだけのものではありません。大切なのは、入社した従業員が働き続け、その能力を発揮できる環境を整えることです。

例えば、従業員がプライベートな問題を抱えたときに、会社とは別に相談できる窓口があることも、そのような環境づくりの一つと考えられます。必要なときに支援を受けられる仕組みを用意しておくことは、従業員を大切にする企業の姿勢を具体的な制度として示すことにもなります。

もちろん、福利厚生やEAPを導入するだけで、人材の採用や定着に直ちに成果が生じるわけではありません。しかし、福利厚生を単なる「付加的な待遇」としてではなく、「採用する」「安心して働く」「定着する」「能力を発揮する」という一連の人材戦略を支える仕組みとして捉えることは重要です。

このような考え方は、人材を企業価値の源泉として捉える「人的資本経営」にもつながります。

人的資本経営の観点から考える従業員支援

近年、企業経営において「人的資本経営」が重視されています。人的資本経営とは、人材を企業価値を生み出す重要な資本として捉え、その価値を最大限に引き出していこうとする考え方です。

人的資本への投資というと、研修やリスキリング、キャリア形成支援など、人材の能力を高める施策が注目されがちです。しかし、従業員が持っている能力を十分に発揮するためには、能力開発だけでなく、安心して働き続けられる環境を整えることも重要です。

従業員が仕事以外の問題を抱えた場合、その問題自体を企業が解決することはできません。一方で、必要なときに外部の専門家へ相談できる仕組みを用意することはできます。

こうした従業員支援を、単なる福利厚生としてではなく、従業員が安心して働き、能力を発揮するための環境整備の一つとして捉えることが重要です。

福利厚生やEAPについても、「どのような制度を導入しているか」だけではなく、「従業員が安心して働き続けるために、どのような支援が必要か」という視点から検討することで、人的資本経営における人材への取組みの一つとして位置付けることができるでしょう。

従業員支援の選択肢としての「Law Room」

従業員を支える職場環境づくりを進めるためには、自社の人事・総務部門だけですべての問題に対応するのではなく、必要に応じて外部の専門家を活用できる仕組みを整えておくことも一つの方法です。

弁護士法人かける法律事務所では、従業員支援のための福利厚生サービスとして「Law Room(ロールーム)」を提供しています。

Law Roomは、企業の従業員やそのご家族が、離婚、相続・遺産分割、交通事故、借金、不動産など、プライベートな法律問題について弁護士に相談できるサービスです。企業・従業員ともに費用負担なく導入・利用することができます。

また、弁護士には守秘義務があるため、誰がどのような相談をしたのか、その相談内容や個人情報を企業側にお伝えすることはありません。従業員が会社には話しにくい悩みについても、会社とは別の相談先を持つことができます。

福利厚生は、制度を増やすこと自体が目的ではありません。従業員が困ったときに必要な支援につながり、安心して働き続けられる環境をどのようにつくるかという視点から、自社に必要な制度を検討することが大切です。

Law Roomも、そのための選択肢の一つです。従業員支援や福利厚生の充実を検討されている企業の人事・総務担当者の方は、ぜひLaw Roomのサービスサイトをご覧ください。

▶ Law Room(ロールーム)のサービス内容・導入についてはこちら

Law Roomの導入やサービス内容についてご質問がございましたら、弁護士法人かける法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

細井 大輔

このコラムの執筆者

代表弁護士細井 大輔Daisuke Hosoi

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