
よくある相談
- 緊急で取締役会で決議すべき事項が発生しましたが、取締役会を開催する時間的余裕がありません。
- 取締役会における書面決議では、すべての取締役に同意してもらう必要がありますか?
- 取締役会決議について、持ち回り方式で行うことはできますか?
取締役会とは?
取締役会とは、取締役会設置会社において、すべての取締役で組織され、会社の業務執行に関する意思決定を行う必要的機関です(会社法362条1項)。取締役会設置会社では、取締役は3人以上であることが必要とされています(会社法331条5項)。
取締役会は、会社法や定款等によって規定された株主総会の決議事項を除いて、会社の業務執行全てについて決定する権限や責任を有します。
取締役会は、以下の職務を行います(会社法362条2項)。
- 取締役会設置会社の業務執行の決定
- 取締役の職務の執行の監督
- 代表取締役の選定及び解職
取締役会の決議
取締役会の決議は、原則として、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し(定足数)、出席取締役の過半数の賛成によって成立します(会社法369条1項)。つまり、取締役会は、実際に会議を開催することが必要で、基本的には、持ち回り方式による決議が認められていません。
なお、取締役会の決議について、特別な利害関係を有する取締役は議決に加わることができません(会社法369条2項)。
取締役会の決議の省略(書面決議)ー会社法370条
原則として、取締役会を実際に開催することが必要ですが、機動的な意思決定が必要な場合もあり、定款で定めることによって、取締役会の決議を省略し、書面で決議を行うこともできます(会社法370条)。
つまり、定款で定めた場合、取締役が取締役会の決議の目的事項を提案した場合において、議決に加わることができる取締役全員が書面(電磁的記録)によって同意した場合、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなすことができます(ただし、監査役設置会社において、監査役が当該提案について、異議を述べた場合を除く)。
会社法370条(取締役会の決議の省略)
取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。
取締役会の決議の省略(書面決議)の注意点
① 定款で規定しておく必要があること
取締役会の決議の省略(書面決議)を行うためには、定款で規定しておく必要があることに注意する必要があります。取締役会の決議の省略(書面決議)を行うに際して、定款に、その旨の規定があるかどうか事前に確認してください。
具体例:
定款30条(取締役会の決議の省略)
当会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案 をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に 加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により 同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の取締役会の決議 があったものとみなす。ただし、監査役が異議を述べたときは、この限りではない。
② すべての取締役の同意が必要であること
取締役会の決議の省略(書面決議)を行うためには、議決に加わることができるすべての取締役の同意が必要です。この同意は書面又は電磁的記録であることが必要です。
もし取締役のうち、1名でも反対する者や棄権する者がいる場合、取締役会の決議の省略(書面決議)を利用できず、実際に取締役会を開催する必要があります。
③ 議事録を作成する必要があること
取締役会の決議の省略(書面決議)を行う場合でも、議事録を作成する必要があって、保管しておく必要があります(会社法371条1項)。
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